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2014.05.31|TALK-ABOUT [ブログ]

ペルシャ湾の機雷除去―石油確保のための集団的自衛権は間違い


予算委員会では、いろいろと重要なことを総理と議論しましたが、分かりやすさという点でもう1つ取り上げたのが、ペルシャ湾での機雷の敷設(ふせつ)です。

国際法上、ある国が意図を持って機雷を敷設することは、武力行使であると考えられています。そして、その意図を持って敷設された機雷を、戦闘が継続しているなかで除去することも、武力行使だとされています。そういう前提での議論です。

例えば、ペルシャ湾で機雷が敷設され、タンカーなどが航行できなくなり、その結果として、日本に対するエネルギーの供給が止まってしまいかねない。そういう事態において、集団的自衛権の行使で、機雷の除去に日本も参加すべきであるということを、総理は言われました。


石油が入ってこないということは、確かに大変な事態ではありますが、ホルムズ海峡を迂回して石油を供給するということも可能ですし、何より日本は、民間備蓄と国家備蓄を含めて非常に大きな備蓄を抱えていますので、直ちに日本の石油がばったり止まるということはあり得ないわけです。

いずれにしても、石油の安定供給が確保できないという理由で、集団的自衛権を行使するというのは、私は間違いだと考えています。

個別的自衛権の行使の場合は、日本自身が武力行使や侵略を受け、その結果として日本国民の命が失われたり、財産が奪われたりするという事態です。それに匹敵するだけの状況がなければ、集団的自衛権の行使はできません。

それが具体的にあるのか、ないのかということが、これから国会の中、あるいは与党協議の中で当然議論されると考えています。

単に油の供給が滞るというだけの理由をもって、日本が集団的自衛権の行使、つまり武力行使をするというのは適切ではありません。

それに対して総理は、「機雷を除去するだけじゃないか」と言われました。機雷を除去する行為自身が武力行使であるということは先ほど申し上げたとおりです。

つまり、日本の掃海艇がペルシャ湾に敷設された機雷を除去し、そこで話がハッピーエンドで終わればいいのですが、意図を持って敷設された機雷を、意図を持って除去するということは、機雷を敷設する側から見れば攻撃をされたということになります。

したがって、機雷の除去を妨害したり、反撃したりするなど、武力行使をするということは当然考えられるわけです。つまり、話はそこで終わりではなくて、結果として、日本と機雷を敷設した国との本格的な武力紛争に発展するリスクは常にあるということです。

そのことまで考えて、果たしてこういった場合に集団的自衛権の行使ということで、自衛隊を出すということが適切なのか。このことについて私は疑問を呈したわけです。

総理の最終的なお答えはありませんでした。

総理の答弁を聞いていると、日本が最終的に紛争状態になる、つまり戦争に巻き込まれるということについて、そういうことにはならないということを強調されます。

しかし、先ほどの機雷の問題で申し上げたように、常にそのリスクを含んでおり、そういう意味では、戦争に巻き込まれるという議論も全くあり得ないことではない。そのことを分かったうえで、議論すべき話だと思っています。

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