訪米―TPPは日米で牽引を、中国は世界に関与させることが前提
今回アメリカに行って議論になった点の1つはTPPの問題で、もう1つは中国の問題です。
TPPについては、見通しは非常に厳しいということです。
議会から予め交渉権限を委譲されるためのTPA(大統領貿易促進権限)が議会に認められる可能性については、肯定的な意見は1つもありませんでした。
中間選挙で当落が決まったとしても、年内は落選した議員も含めて引き続き議員の席にあるわけですが、このいわゆる「レームダック期間」に、何とかなるのではないかという考え方が日本にはあり、私もそのことを期待しています。ただ、そのことも含めて非常に難しいのではないかと。
そして、民主党議員の中にも、むしろTPP反対の声は非常に強くて、これは新しい大統領にならないと無理ではないかという意見すらありました。
私は望みを捨てるつもりはありませんし、日本にとって非常に重要なことなので、是非日米両国政府には頑張ってもらい、日米が引っ張る形でTPPにおいて良い結果を出せるよう、さらに努力が必要だということを改めて感じたところです。
2番目の中国については、北京で米中戦略・経済対話が始まったということもあって、非常に高い関心が示されました。
中国の最近の振る舞いについて、随分議論になりましたが、私が申し上げたのは、これは別に日中だけの問題ではないということです。
アメリカの中にも、防空識別圏の設定や、ベトナムに対する振る舞いなどを見て、より警戒する声が高まっているということを感じました。
私は、これは日中だけの問題ではなく、米中だけの問題でもないと思います。
中国という政治体制の異なる国が、非常に大きな力を持って台頭してきている。従来の様々なルールを無視するかのような行動に対して、きちんといままでのルールのもとで行動するようにもっていく。
これは、アメリカ、日本、アジアの国々だけではなくて、ヨーロッパのドイツやフランスも含めて、世界全体でしっかりと取り組まなければいけない問題だということを申し上げました。
また、同時に、「G2」論、中国とアメリカで新たな大国関係という中国の主張に対しては、中国が新たなルール作りをするということに沿った話でもあるので、そういった考え方については非常に疑問があるということを申し上げたところです。
いずれにしても、中国に対するこの警戒感自身は正しい認識だと思います。しかし、同時に気を付けなければいけないのは、中国を封じ込める「containment」ではなくて、世界の中に関与させていく「engagement」という考え方を前提にしての様々な議論であるということは、きちんと踏まえておく必要があると思います。
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