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2015.03.21|TALK-ABOUT [ブログ]

安保法制の与党合意─国民の理解なき政策の大転換、徹底的な議論を


与党の安全保障法制に関する協議会の結論が出て、合意に至ったということが発表されました。このことについて一言申し上げたいと思います。

まず第1に、各論に入る前に総論として、戦後、我が国は海外における武力行使を原則として行わない。日本自身が攻撃を受けたときに、それを排除するための個別的自衛権の行使に限定するという考え方をずっと取ってきました。

この考え方を大きく転換し、場合によっては海外で武力行使ができるようにするというのが今回の安倍総理が言う「積極的平和主義」の具体的内容です。

そのことについて、国民にどこまできちんと説明したのか、あるいは国民の理解は進んでいるのかというと、私は、そこは非常に大きな疑問があると言わざるを得ないと思います。


70年ぶりの政策の大転換をするのであれば、まず国民にその必要性や、あるいは具体的内容について理解を求めることが先だと思っています。

その上で、個別の問題、いろいろと論点があります。論点は尽きませんが、PKO法を改正して、今までは「自己保存のための武器使用」が認められていましたが、それを「任務遂行のための武器使用」まで憲法上認められるとしたうえで、PKOを超えて治安維持活動などもできるとするというものです。

治安維持活動というと、アフガニスタンで、ドイツをはじめNATO各国が行った活動が思い出されるのですが、そういうことも含めてできるし、任務遂行のための武器使用もできると。そこまでなぜ行う必要があるかということについて、具体的説明はありません。そのことによって、自衛隊にどういう危険が及ぶかということについての説明もないのです。

2番目に、恒久法を作って、他国の軍隊の後方支援(輸送、補給、医療など)をできるようにするということです。どういう場合に他国の軍隊の後方支援ができるようにするかということについては、はっきりとした基準が示されているわけではありません。

加えて、後方支援というのが、今までは「現に戦闘が行われておらず、今後とも戦闘が行われる見通しがない地域」(非戦闘地域)という限定された地域での活動のみが行われていたのですが、今回、考え方を変えて、「現に戦闘が行われている現場」以外であればいいと、かなり戦闘現場に近いところまで行うことができるということになるのです。このことの必要性や危険についても説明がなされているわけではありません。

また、周辺事態法も改正して、「周辺」という概念を取り去るということですが、今までは「日米安保条約の効果的な運用に資する」という法目的のために、この周辺事態法がありました。

日本の周り、安保条約の適用の範囲、つまり、極東でそのまま放置すれば日本に危険が及ぶような場合の法律だったわけです。

それを地理的概念を取り、場合によっては日米安保条約という言葉も出てこないとかもしれないということになると、本来これは全く別の法律になります。そのことについての説明も明確ではありません。

集団的自衛権についても、国会で何度も私自身も議論しているように、日本自身が攻撃を受けたのと同じくらい大変な状況と説明しつつ、ペルシャ湾で機雷がまかれて石油が来なくなるような、そういう経済的状況も、必要性として集団的自衛権を場合によっては行使できるんだとして、果たして歯止めはかかっているのかどうか、非常に曖昧な、そういった「限定」ということになっているわけです。

一言で言えば、「切れ目のない」ない対応と、安倍総理は安全保障法制について言われるのですが、我々に言わせれば「歯止めのない」自衛隊の海外派遣であると、言わざるを得ません。

私は、すべて現状のままだけでいいということでは必ずしもないと思うのですが、時代も変わり、そして自衛隊の活動範囲を広げる、そういう必要性を認めないわけではありません。

しかし、そのことに必要性、リスクを国民に説明されないまま、加えて、従来の憲法解釈を変えるということになる、そういった大きな政策転換を法律だけでも3本、4本、大きく変えるということになるわけですが、そういうものを短期間で1つに押し込んで議論しようとしていることに非常に危機感を抱くのです。

衆議院の予算委員会も終わってしまっているので、なかなか議論する機会がすぐには来ないかもしれませんが、ぜひ党首討論を開いて、そこで総理と徹底的に議論したいと考えています。

自公は抽象的に合意したということですが、今、申し上げたような具体的な危険、自衛隊員に対する危険、そして海外で武力行使あるいは後方支援をすることの必要性、そういったことにについて、より具体的に語る必要があると思います。

統一地方選が近いからといって、ここを曖昧にして、統一地方選が終わって連休が明ければ、いきなり法律が出てきて、国民がよく理解しないままに法律が成立してしまうということは断じてあってはならないと、そう思っています。

ここは我々国会議員にとっても、政党にとっても正念場だと、しっかりと頑張って議論してかなければならないと改めて感じているところです。

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