お粗末答弁─事前に通告しても基本的なことすら答えられない総理
今日は安全保障法制特別委員会の集中審議で、総理と1時間議論しました。すべてを語ることはできませんが、概略を少し申し上げたいと思います。
まずは、この前の党首討論で私が取り上げたテーマ、つまり「存立危機事態」というのは、いつ認定し、そして防衛出動するのかという問題です。
党首討論で総理が具体例で挙げられた、近隣の国で有事があって、米国とその国で戦闘が始まった。その国の指導者が「東京を火の海にする」と叫んで、ミサイルの発射準備を始める。3番目にアメリカの船が攻撃を受ける。
そういう一連の流れの中で、最初に戦争がアメリカとその国の間で始まったというのは、まだそれだけでは存立危機事態にはならないということですが、ミサイルが日本に向けて発射される、そういう具体的な危険が出てきたとき、それが存立危機事態であるのか。
それとも、そこはまだ存立危機事態と認定できなくて、実際に米艦が攻撃を受けるというときが存立危機事態なのかということを聞いたのです。
私としては当然、米艦が攻撃を受けたとき、そこからが存立危機事態を宣言して、防衛出動しても間に合いませんし、2番目、つまりミサイルが日本に向けて発射される、そういう明白な危険が判断されるときに存立危機事態と宣言し、防衛出動するのかと思ったりもしたので、総理にそのことを確認したのですが、お答えはありませんでした。
むしろ、米艦が攻撃を受けたときに事態認定を行うようなニュアンスで、はっきりしませんが、お話になりました。しかし、それでは実は間に合わないわけです。私が驚いたのは、こういった基本的な問題についての認識がはっきりしていない。
そういうあやふやな認識で自衛隊が防衛出動して、武力行使する。これは総理大臣が決めるわけですから、極めて心配なことだと改めて感じたところです。
私は今回、議論を少しでも噛み合ったものにするために、あらかじめ事務方(役所)には質問を通告してありました。それにもかかわらず、このお粗末答弁は一体何なのだろうか。そして、いつものように直接聞いてもいないことをお話しになる。大変残念だと思っています。
その他に、ホルムズ海峡における、波静かではないときに、私はないとは思いますが、政府や総理がおっしゃる、国民が凍死するとか、生命に危険が及ぶような状況が、油が止まることによって起きている。
そういうときに、波静かなら機雷掃海する、これは政府も言っているのですが、波静かでないならば、国民が危機的な状況にあるのに、それは必要最小限度を超えて出来ないのか、という問いに対しても、法制局長官も含めて、答弁は極めて理解の出来ないものでした。
日韓関係についても質問しました。我々が政権の時に出した「菅総理談話」について、総理は当時、非常に自虐的であるといった表現を使って批判をされました。
私は先人がそれぞれ、時の総理などが、努力して日韓関係、日中関係もそうですし、どこの国もそうですが、大変な努力をされてきた。それを有力な政治家が全く真逆のことを発言し、その努力を水の泡にしてきた。そういうことは避けるべきだという趣旨で申し上げました。
最後に、自民党の憲法改正草案の中では、自衛権を幅広く認めるということにしています。つまり、集団的自衛権について限定せずに認めるというのが自民党憲法草案です。
侵略戦争はもちろんしないわけですが、国際法上認められた武力行使を幅広くする、そういう国を目指す自民党。
我々は海外における武力行使を制限する、日本を守るために必要な場合に限って、その攻撃を跳ね返すための武力行使をする、そういう憲法の平和主義を踏まえた国を目指していく。そういう我々と、「普通の国」を目指す自民党。その大きな岐路に今、立っていると。
議論されているのは限定的な集団的自衛権その他ですが、しかし、大きな方向性としては、フルスペックの限定のない集団的自衛権、武力行使を自民党は目指している。どっちを選びますかということが、今、国民に問われていることだと思います。
少し長くなりましたが、いずれにしても、非常に答えがきちんとなされない、いつもながらの残念なやり取りでした。
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