香川前財務次官─震災対応、消費増税に共に取り組んだ気概の官僚
1か月前まで財務省の事務次官やっておられた、香川俊介さんが逝去されました。心からご冥福をお祈りしたいと思います。
香川さんは、我々民主党の与党時代、私が幹事長のときに、財務省の官房長を務められておられました。当時、我々2人にとって最大の懸案は、東日本大震災への対応でした。
まず急遽、補正予算を組まなければいけないことになりましたが、財源の充てが十分にない状態でした。
そういう中で、高速道路の無料化実験を止めて財源をつくるなど、いろいろ相談しながら進めたことを思い出します。
あるいは、所得税、法人税を臨時的に増税して、そこから復興のための財源を確保するという、これはなかなか出来ないことですが、当時の香川さんの財政健全化にかける意気込み、そういう中で実現したことだったと思います。
その後、私が野田政権で、副総理兼社会保障と税の一体改革担当大臣になりまして、また様々な共に働く機会が増えました。
特に、野党自民党あるいは公明党の議員への説得、つまり「3党合意」に至るまでのプロセスで、野党議員、特に自民党のベテラン議員への説明、根回し、そういったことを連携を取りながらやったことを思い出します。
そして、社会保障と税の一体改革の中の社会保障改革の部分で、厚生年金と公務員の共済年金を1本にするというのが、その法案の中に含まれていましたが、これは財務省所管ということで、そういったことについても、様々連携を取りながら、法案を国会に提出し、そして、全体で成立させたことを思い出します。
私は、いろんな官僚の皆さんとお付き合いをする、特に与党時代には、深いお付き合いがありましたが、やはり香川さんは一貫して、財政を健全化しなければならないという強い信念、そして、もちろん個人としての大変な能力、そういう意味で、記憶に残る官僚だったと思います。
途中で、がんを患い、そこから奇跡的に立ち直って、最終的には事務次官まで務められましたが、気力で最後まで次官の仕事を全うして、残念ながら、わずか1か月でお亡くなりになってしまいました。
生も根も使い果たしたということだったのかもしれません。官僚としてやるべきことはやったという、そういう思いの中で、旅立って逝かれたのかと思います。
心から改めてお悔やみを申し上げたい。このような気概のある官僚があってはじめて、この国が成り立っているのだということを、ほぼ同世代の人間として、特に感慨深いものがあると思います。
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