財政健全化─先の話なので責任を負わないと言わんばかりの閣僚答弁
少し前の話になりますが、先週、内閣委員会で質問・質疑をしたときのお話をしたいと思います。
国と地方のプライマリーバランス(基礎的財政収支)を2020年度に黒字化する。つまり、その年の税収で、その年の政策的経費をまかなえるようにする。これが政府の掲げている目標です。
それが今、非常に厳しい状況になっている。先般の内閣府の試算でも、このまま行くと2020年度に8.3兆円の赤字が発生する。高い経済成長と税収を見込みながらも、なおかつ8.3兆円の赤字が発生している。そのことについて、具体的にどうするのかというのが、論点でした。
財政健全化に責任を持つ石原大臣から、力強い答弁は全く聞かれませんでした。「今、さまざまな努力をしている」ということですが、今までの延長線上で8.3兆円の赤字が解消できるというのはあり得ないことです。
2020年度プライマリーバランス黒字化という約束が実現できないときに、市場はどう反応するのか。そして、プライマリーバランス黒字化は財政健全化の第一歩ですから、健全化について、2020年以降も全く絵が描けなくなることに対する危機感が、あまりにも低すぎると思います。
石原大臣とは、2020年度以降についても議論しました。
次第に長期金利が上がっていくと想定されるので、その結果として2020年度~2025年度までの間に、税収は14兆円増えますが、国債費すなわち利払費と国債の償還費は約20兆円増えてしまいます。金利が次第に上がることと、巨大な債務残高があること。この2つの理由からです。そして25年度以降も高い長期金利が続く限り、さらに国債費は膨れ上がっていきます。
つまり、内閣府の試算でもプライマリーバランスの黒字化は仮に実現したとしても、国債費を加えた財政収支は、むしろ悪化していくという姿がすでに示されているのです。
結局、財政健全化の道筋が全く描けないどころか、さらにどんどん悪化する可能性が高いということを正しく認識するべきだと思います。
予算委員会における安倍総理、麻生大臣、石原大臣の答弁を聞いていると、あまりにも危機感がない。財政健全化は先の話なので、自分たちは責任を負わないと言わんばかりの答弁に、非常に大きな危機感を覚えます。
国の借金が1000兆円を超えていることの方が深刻ででしょう。しかも益々更に増え続けている。財政が破たんした時に民進党がバトンタッチする羽目になるのではないかと危惧している。将来の苦しい展望を描きながら、自民党と対峙する必要があるでしょうね。