福島復興─全体像の議論なく、掛け声だけがかかっている状況を懸念
今日は、東日本大震災復興特別委員会で、政府提出の「福島復興再生特別措置法改正案」について、今村大臣と議論をしました。
特に私が問題だと指摘したのは、今回の法案では、「帰還困難区域」について、「特定復興再生拠点区域」を指定して、これを国の負担で整備することになっている点です。
もちろん、国が前面に出て復興拠点の整備をするということに、私は反対しているわけではありません。
しかし、その中に含まれている除染費用について、これを東京電力に求償せずに、除染費用も含めて、復興拠点整備の全体を国が負担するとしていることの妥当性について大臣に聞いたのです。
大臣は、「今回は、新たな政策決定であり、復興のステージに応じた新たなまちづくりだから国の負担において行う」という答弁を繰り返しました。
しかし、まず、「汚染者負担の原則」に基づき、東電が除染費用について負担することになっている、その大原則は、帰還困難区域であっても適用されることの確認を求めたのですが、大臣はそのことについて明言しませんでした。
これでは、帰還困難区域について、除染費用も含めて、国が全責任を負うということになりかねず、そして、財源が十分でないということになれば、結局、帰還困難区域の除染が進まないということになりかねないというのは、極めて問題だと思います。
次に、一部のメディアは、帰還困難区域以外の地域で除染が終了し、避難指示が解除されたと報じました。しかし正確には、「除染特別地域」における、環境省の定めるガイドライン沿った除染が終了したにすぎません。
例えば、森林は住居などからの近隣20mの林縁(りんえん)の除染がなされただけです。ガイドライン上は、まずその除染を行うことになっているからです。
しかし、林縁から20m以上のところについて、除染をしなくてもいいというわけではありません。どこまで除染をやるべきなのか、少なくとも現時点の状況は不十分である。そのことについて、きちんと認識したうえで、この除染特別地域についても、今後さらに除染を行っていかなければなりません。そのための費用は東電が負うということが確認できたことは、一歩前進だと思います。
いずれにしても、復興は、まだまだ厳しい長い道のりの、その入り口にあります。膨大な予算も必要になります。
東電と国でどのように分担するのか。国が行う場合に、かつて行ったように、東日本大震災からの復興のための予算は、新たに増税措置を行うことによって、国民の理解を得て進めるという基本的な考え方。これがなければ、結局、措置はできないと私は懸念するわけです。
全体としてのグランドビジョン、何をどこまでやるのか、そして、そのための財源を、誰がどう負担するのかという議論を欠いたまま、例えば3月12日の岩手での総理の発言のように、「すべての帰還困難区域において、避難指示を解除するとの考え方の下に時間がかかっても完全に解除するという方針で取り組んでいきたい」というのは、政治的な決意としては分かりますが、総理が方針として打ち出した以上、総理の任期中に、何をどこまでやるのか、そして、そのための財源はどうするのか。そういったことが明らかにないまま、掛け声だけがかかっているという状況について、私は大変懸念をしています。
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