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施政方針演説 ― 迷走する安倍政権

 通常国会が始まり、総理の施政方針演説が行われました。自分に都合のよい数字を取り出し、実績を誇張する傾向がより強くなり、内容の極めて乏しい演説でした。

 消費税増税により税収が大幅に増したことに一言も触れることなしに、経済再生によって、来年度予算の税収が過去最高となったと強調していることや、出生率が過去3年間低下していることに触れずに希望出生率1.8の実績を目指すとしていることなどが、その典型です。
 他方で、当時の担当副大臣によるカジノ汚職疑惑や、桜を見る会における自らの公私混同、公文書のひどい扱い、説明責任を果たそうとしない二人の前大臣などへの反省や対応については、全く触れられていません。安倍総理は、オリンピック・パラリンピックに何度も言及しましたが、これらを強調していれば、国民は不祥事を忘れるとでも思っているのでしょうか。

 そもそも、全世代型社会保障の実現を政権の最大の課題と位置付けていたはずですが、あまりにも具体策が乏しく、演説の中でも目立たないものとなりました。2022年には、ベビーブーム世代が75歳を超え始めるため、社会保障制度の持続可能性は危機的状況で、しっかりと国民に改革の必要性を訴えるべきだったと思います。

 任期2年近くを残す中で、安倍政権はいったい何を大きな目標としてやっていこうとしているのか。そのことが全く見えてこない迷走演説だったというのが、私の感想です。



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