自民総裁選挙―あうんの呼吸で新総裁選出へ
自民党の総裁選挙、岸田、石破、菅三氏の立候補が決まりスタートしました。14日の投票・選出が予定されています。
8月28日の安倍総理退陣表明以降、二階幹事長が中心となって主要派閥が菅さんで事実上一本化されていった手際よさ、見事なものがあります。背景にあったのは「岸田では石破に勝てない」ということと「勝ち馬に乗る」という二つの共通認識だと思います。
総裁選挙は正式な党員投票方式を採用しないことが決まりました。「新型コロナウイルス問題への対応を早急に講じなければならない。後継総裁選出は緊急を要する(二階幹事長)」との大義名分はあるものの、新総裁選出までの間は安倍内閣が引き続き存在する訳ですから、説明になっていません。選挙人の確定に時間がかかるとの説明もなされたようですが、そうであれば任期満了による総裁選挙以外は、党員参加はできないと言っているに等しいことになります。総務会で異論は出たものの強い反発なくまとまってしまいました。解散総選挙が近いかもというのも自民党議員に対して影響を及ぼした可能性があります。自らの選挙を前に幹事長や派閥の長を敵に回すことは避けたいというのは当然の議員心理です。
党員投票方式を採用すれば石破に勝てない可能性があるとの判断が根底にあったことは間違いないと思います。そして、派閥主導で、あうんの呼吸で次期総理を事実上決めたことは、総理という最大権力の私物化以外の何ものでもありません。
早期解散の可能性が取りざたされますが、来年9月に本格的な総裁選挙を控える新総理です。党員に人気のある石破さんに勝ち、再選されることは容易でないと予想される以上、総理の最大権力である解散カードを早々と切ることは考えにくいと思います。新型コロナウイルス問題への対応のため政治空白は許されないとして党員投票を行わなかったこととも矛盾します。解散は政権の実績を残した上で、来春以降の適切な時期になされる可能性が高いと予想しています。もちろん、新総理の人気のあるうちに解散する可能性は否定できません。常在戦場であることは当然で、いつ何があってもよいように準備は進めておかなければなりません。
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