菅内閣発足―課題山積
菅新内閣が発足しました。主要派閥のバランスの上に成り立つ内閣で、そのことが強みであるとともにもろさにもつながります。つまり派閥が結束していれば安定した長期政権ともなり得ますが、その結束が維持できなければ自分自身の基盤がないだけに、あっという間に崩れてしまう危うさを持っています。ポイントは二階幹事長と新たに官房長官に選任された加藤勝信さんです。閣僚の顔ぶれは、実務型で手堅い人選だと思います。
菅総理が野党との関係をどうしようとするのか、大切な問題です。安倍さんのように悪夢の民主党政権などと野党を敵視し、国会論戦を軽視した路線を維持するのか。それともコロナ下においてより野党各党に協力を求めるのか。しっかりとかみ合う国会論戦を行うことは国民に対する説明責任を果たすことでもあります。隠しごまかすのではなく、正直に説明し国民に対して理解を求める内閣総理大臣であってほしいと思います。そうすれば与野党の関係も変わってきます。
現在は新型コロナウイルス対応が最優先であることは、菅総理の言う通りです。第二波を抑え込みながらぎりぎりの状況にある雇用の維持や事業継続に向けてしっかりと対応すること、そして感染第一・第二波に対する政府の対応を検証し、特措法改正も含めて冬の第三波到来に備えることなど、議論すべき問題は山積しており、早期の国会開会による内容のある論戦を行うことが重要です。私達も十分な提言ができるよう、党内論議を行っておく必要があります。
コロナを乗り越えたあとの中長期的な課題、自民党総裁選挙でも様々な議論がなされました。石破さん、岸田さんの主張には私達が従来から提案してきたことと重なる部分も多かったと思います。それに加えて地球温暖化対策を軸とした経済成長戦略や現在やむなく先送りされている財政健全化の具体策など国民生活の将来にとって重要な、議論すべき点はたくさんあります。予算委員会などで今後、内容のあるやり取りができることを期待したいと思います。
解散はいつあるのか、それを知るのは菅総理のみです。早期解散の可能性もありますが、私は解散カードという総理にとっての最大の権力の源を早々と切るとは考えにくいと思っています。来年の党員も含めた自民党総裁選挙で石破さんに確実に勝利できるように菅総理にとって最善のタイミングで解散するのではと思っています。
安倍首相が退任を発表したことで内閣支持率が急上昇しました。多くの国民は安倍政権が終わってほっとしたのだと思います。大した成果も出さないまま政治を私物化して長年総理の座に居座り続けたことに憤りを感じていたのが、健康上の理由ではあっても自ら辞めるならまあ赦すという感覚ではないでしょうか。
菅政権の支持率はこの流れを引き継いでいるだけで、この先は自然と低下していくでしょう。それをなるべく食い止めて解散総選挙が可能な状態を維持しようとしていると思います。早期に外交を開始したのはその象徴的なイベントと思われ、安倍政権で確立した小賢しい点数稼ぎの方程式なのです。早期の解散総選挙に強い警戒が必要でしょうか。
安倍政権の後半と同様に、年功序列・地盤配慮・派閥配慮・お友達優遇で組閣している自民党を陳腐化し、国民に期待される人選を行う鍵は言うまでもなく能力主義ではないでしょうか。国会議員は選挙で落ちればキャリアを継続できないので、最低限の地盤力を持っている必要はありますが、やはり発信力や説明力を含めた能力が高い人をずらりと並べた候補者リストになれば自民党との差別化が明確になると思います。