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国会始まる ― 菅総理の所信表明演説は淡々と

10月26日、いよいよ国会が始まりました。朝9時に衆議院第一議員会館の多目的会議室で両院議員総会が開催されました。衆参合わせて150人という規模はやはり壮観で、久しぶりに力強い野党ができたことを実感しました。
 新型コロナ下において、安倍政権末期から今日まで、実に4ヵ月も国会は閉会されたままでした。これから、国民の期待にこたえて、どれだけ内容のある議論ができるか、一人ひとりの議員の働きが大切です。

 14時からは、菅総理の所信表明演説。新型コロナ対策ということで、密を避け、本会議場出席は半数のみ、私は議員会館の自室でテレビを通じて聞くことになりました。安倍総理と違い、大上段に構えた議論や野党に対する挑発はなく、ある意味菅さんらしい演説でした。
 ただ、内容的にも具体策は少なく、物足らないと思いました。何点か指摘したいと思います。

 まず、新型コロナウイルス対策と経済の両立について、検査能力の確保や医療資源の重症者への重点化などを強調。それはよいのですが、第一波、第二波の反省や検証については言及がありません。専門家と政治家の役割分担が十分でなかったことや、第二波の対応が遅れたことなど率直に述べ、二度と同じことを繰り返さないことを説明すべきでした。経済対策についても、持続化給付金などの継続と、Go Toキャンペーンに言及するだけで、ぎりぎりの状況にある人々への対策や、収入減による消費減退が深刻な景気後退を招きかねないことに対する言及は全くありません。

 グリーン社会実現は、新しい点です。2050年までに温室効果ガスをゼロにすることや、温暖化対策は大きな成長につながるとの言及は、いままでの私たちの主張であり、安倍政権にはなかったことです。その点は評価できます。
 ただし、その達成のカギは革新的イノベーションだというのは、従来と変わっていません。2050年ゼロというなら、その途中である2030年目標の変更は避けられず、イノベーションだけでなく炭素税などのカーボンプライシングや省エネルギー推進のための規制政策の活用が必要になるはずです。

 社会保障についても、不妊治療の保険適用など以外に新しい話は乏しく、2022年に団塊世代が75歳以上になることへの言及はあっても、より深堀した社会保障制度への持続可能性実現についての決意は述べられていません。そして、財政の中長期的健全化について全く言及されていない点も気になります。あきらめたということでしょうか。

 外交安全保障は、基本的には安倍総理を踏襲(とうしゅう)した安全運転で、新味はありません。ただ、北方領土について、「平和条約締結を含む日露関係全体の発展を目指します」と領土問題解決を前面に挙げなかったことが注目されます。

 全体としては、うす味で、今後菅総理としてローキーで実務的な内閣を目指すのかなと思わせる、淡々とした演説でした。ただし、これからの国会審議を見ないと、本当のところはわかりません。



コメント
  1. むろけん より:

    日本学術会議の任命問題に象徴される驕った姿勢は、安倍政権からそのまま引き継いでいると思われます。
    ただ、安倍さんのようにつかみどころのない政権ではなく、実務的な領域で具体的な目標を掲げている部分は良くなっていると感じます。しかし、安倍さんと比較すると政策を決め力強くリードするような迫力に欠けることは明白でしょう。従いまして、次回衆院選で立憲民主党が自民党から大きく議席を奪い取る余地は十分あると思います。

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