施政方針演説――国民を勇気づける言葉がない
国会が始まり菅総理の施政方針演説がなされました。
12月5日に前国会が終了。その後、感染の拡大が止まらない中で、国会は長い休会。国家的危機の中、私達の早期開会要求を無視してきました。新型インフルエンザ特別措置法も本来であれば第一波後の夏に改正すべきでしたし、野党は既に対案を出していました。今頃になって改正論議を行っているのは信じられない失態です。医療現場のひっ迫は極めて深刻です。多くのことが後手後手に回っていることは国民の皆さんが実感されていることです。
施政方針演説はこれらのことには十分触れることなく、淡々となされました。前国会の「経済と感染拡大防止の両立」から「まずは感染収束」に大きな方針変更があったにもかかわらず、その理由も説明もありませんでした。ただし、菅総理もこの非常事態の中で、心労がないはずはありません。恐らく夜も寝られない心境ではないかと思い、感染対策で出席者数を半分に絞った本会議場で静かに演説を聞きました。
ドイツのメルケル首相のように、国民の気持ちに響くような演説を菅総理に求めることは無理なのでしょうか。国家と国民の安全にとって、いままでにない非常事態だからこそ、国民を勇気づける一言が欲しかったと思います。ただし、安倍前総理の演説のような空虚なフレーズを連呼し、国民をあおるようなスタイルと比べるとまだましかな、というのが私の長い演説を聞き終えての正直な感想です。
今日からスタートした代表質問に加えて、私が所属する予算委員会も来週から始まります。この非常事態に野党としてどういう姿勢で議論に臨むべきか。批判・検証と提言のバランス、具体的な提言の内容など野党も厳しく問われる国会になりそうです。
コメント
-
コロナ対策が後手に回っているのは我々一般人も深刻に感じています。
-
国会で新型コロナ対応をしっかり議論し、もっと政府の尻を叩いてやってください。自分は昨年5月8日に厚生労働省へ以下の意見を寄せておりました。もっと踏み込んで秋冬に備えよという考えを提唱したものでしたが、加藤大臣も田村大臣も十分に効果的な対策を打てませんでした。その結果、現在の感染拡大や医療サービス不全を招いているのだと感じます。
<昨年5月8日・厚生労働省への意見具申>
専門家会議でクラスター対策が偏重されてしまい、感染者特定による隔離と、人と人の接触を減らすことだけが重視されてきたと思います。その結果として、様々な補償や経済支援・生活支援の費用が発生し、将来の大増税の種を残してしまったと思います。
様々な活動自粛がこれで終われば良いですが、今年の秋冬にはさらに大きな感染ピークが来ると懸念されますので、医療キャパシティを急速に上げながら、併行して感染の急速な拡大を予防する科学的なアプローチが必要だと感じます。人が集まっても大丈夫な仕組みを作らなければ、この国の将来は本当にしんどい物になりそうで心配です。
<重症患者を治療できる体制の整備>
・人工呼吸器や酸素吸入装置、防護服やマスクなどの設備・物資の大量獲得・備蓄(海外から高値で買い漁るとか)
・医療用に使える施設の確保(できれば隔離可能な施設、最悪ベッドがおける場所があればOK)
・感染爆発時に医療スタッフを感染症対応病院等へ集めるための下準備
<感染自体を抑制する取り組み>
・抗体検査の実施を促進して抗体保有者を明確にするスキーム作り。
・高湿度によるウィルス生存時間の短縮(屋内施設に加湿器を導入して一定以上に調湿する)
・プラズマクラスター技術などによるウィルス生存時間の短縮(当該機能のある装置の設置)
・サービス業などで閉店後の消毒を義務化
・一定以上の人数が集まるイベントでは、サーモグラフ関所の設置を義務化
国会でのご活躍を期待します。2点気になっていることがあります。
やはり今更ながらの新型インフルエンザ特別措置法での罰則規定ですが、罰金刑など行政罰は良いと思いますが、刑事罰はどうかと思います。自民党内での政府の権限強化をもくろむ右派の強い意志が盛り込まれているような気がします。それにもまして、医療体制の再構築にしっかりとした措置をしてからでないと罰則規定の設定は問題だと感じます。
またその医療体制の、感染患者で本来入院が必要な患者が、自宅療養をしか選択できず、そこで死亡してしまう状態は早急に改善すべきで、これは目に見えて政府の失敗だと思います。ぜひしっかりと追及して成果を出していただきたいと思います。