格差社会
グローバル化が進むなか格差拡大の流れは避けられない
「格差は悪いことではない」と開き直らず、政治が役割を果たすべき
近年、いわゆる「格差社会」が国民の皆さんの大きな関心事となっています。政府は「統計データからは確認できない」「高齢化と世帯規模の縮小の影響」などと分析していますが、政府の統計は2002年までの古いものが中心で、格差拡大を示す最近の統計も数多くあります。
例えば、05年の貯蓄ゼロ世帯は過去最高の約24%に達しています。また、01年から05年の5年間で正社員が約270万人減った一方、パートやアルバイトは逆に約270万人増えています。教育扶助・就学援助を受ける児童生徒数も130万人を超えました。
今国会でも、こうした格差問題について度々議論されており、私も衆院予算委員会で小泉総理に質問しました。しかし、総理からは「格差はどんな社会にもある」「格差は悪いことではない」など、開き直りの答弁しか返ってきませんでした。
確かに、グローバル化が急速に進むなか、国際競争にさらされる企業は人件費の切り下げから逃れることができず、日本国内の勤労者の所得格差の拡大は大きな流れとして止めることはできません。また、もともと所得格差が大きい高齢者の割合が高まることで、社会全体の所得格差が広がっていることも事実です。
しかし、そういった避けがたい経済・社会の変化の中で、政治が格差拡大を放置していてよいのでしょうか。「中間層の厚み」は日本社会の安定の基礎であり、大きな財産です。特に、親の所得によって子どもが受けられる教育の質が左右されることは「実質的な機会の平等」を損ない、格差の固定化につながる大きな問題です。
もちろん、政治にできることは限られていますが、例えば、所得格差是正のために、所得税や相続税の最高税率を見直す、株式譲渡益(キャピタルゲイン)に対する課税を暫定税率10%から本則の20%に戻す、あるいは、教育格差是正のために、親の所得が低くても子どもが通える公立小中学校を立て直す、といった政策を実行すべきです。
いずれにせよ、最も重要なことは、格差拡大という大きな流れと、その結果生じている国民生活の現状を政治がきちんと直視しているかどうかということです。
小泉総理が言うように、チャンスを増やしていくことはもちろん必要です。しかし、人生は努力も大きいですが、運も大きな要素です。チャンスがあってもそれを活かし切れない人、あるいは努力しても報われない人もいます。そういう人たちに対してもしっかり光を当てていくのが政治の役割ではないでしょうか。
皆さんはどう思われますか?
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