ワクチン接種―オリンピックには間に合わない
昨日、第1回目のワクチン接種を終えました。地元のクリニックで7月半ばの第1回接種を予約していたのですが、これでは第2回は8月になってしまいます。国会も終わり、地元活動が中心となるため、なるべく早くと思っていたのですが、新聞報道で東京大手町の自衛隊が運営する大規模接種会場に空きがあると知り、予約を取り直したのです。1ヶ月早く接種できたことになります。
朝8時からの接種ということで、混雑もなく整然と接種が行われていました。大阪会場も含めて、まだ空きが残っていると報道されています。伝えられるように、65才以下に対象を拡大しても接種券が発行されていなければ接種できません。自衛隊や警察、消防など国や国民の安全に関係する公務員に対する接種をどんどん進めるべきだと思います。
ワクチン接種は現時点で概ね順調に行われており、楽観論もあります。接種が今後とも進むことを強く期待しています。地元でも一時期の混乱は減り、1回目を既に打ち終えたと笑顔で話してくれる人も増えました。しかし、6月9日の久しぶりの党首討論における菅総理のワクチン接種に関する答弁は非常に疑問です。
第一に菅総理は感染防止対策として「何といってもワクチンの接種に全力を挙げて取り組んでいきたい」と答弁。ワクチン接種が極めて大切であることは私も同意見ですが、それ以外の感染防止対策について全く言及がなかったのはどういうことでしょうか。ワクチン以外、策はないということなのでしょうか。
第二に「日本は国内治験ということで世界から見れば3ヶ月遅れています。これは野党の皆さんからも強い要望がありました。」と、ワクチン接種の遅れを国内治験のせいにしていることです。例えばファイザーの承認はアメリカが昨年の12月、これに対して日本は今年の2月で確かに約3ヶ月の遅れがあります。しかし、接種が日本において本格化したのは5月の連休明けであり、それまで自治体に必要なワクチンが届けられなかったこと、即ち2月から5月までの3ヶ月の空白の説明にはなっていないのです。承認直後の2月からワクチン接種がなぜ本格化しなかったのでしょうか。また打ち手の不足の問題も多くの国ではあらかじめ対応策を講じています。日本は4月26日になって慌てて歯科医師にも接種可能としましたが、信じられないような無計画ぶりです。ワクチン承認前にもっと幅広く打ち手を確保しておくべきでした。
第三に菅総理は「今年の10月から11月にかけては必要な国民、希望する方全てを終える」と答弁しました。仮に総理の発言が実現したとしても、7月23日に始まるオリンピック時にはどれだけの人が接種を完了しているのでしょうか。とりわけ今後感染拡大が予想されるデルタ株は2回接種を終えないと十分な効果が期待できないとされています。オリンピックで人流が増えることが当然予想されますが、ワクチン接種はこれには間に合わないのです。
最近の総理の発言からは、オリンピックを開催することで支持率を上げ、オリンピックの熱狂が冷めないうちに、解散総選挙に持ち込むとの戦術が明らかになってきました。早ければ、8月10日に国会召集、即解散ということが考えられます。遅くともパラリンピック終了直後の9月7日には解散ということになります。ワクチン接種のスタートが遅れたことやデルタ株の存在を考えるとこれは大きな賭けです。政治的思惑から国民の命を危険にさらすことは絶対に許されることではありません。
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